金環日食観察の注意点と観察方法まとめ


■安全に金環日食を観察しよう

img120428_2.jpg2012 年5 月21 日(月)の朝、日本全域で見られる日食が起こります。

なかでも、九州地方南部から関東地方付近にかけての帯状の範囲では、太陽の中央部分が月に隠されて太陽がリング状に見える「金環日食」になります。

日食は自然や科学への関心が高まるきっかけとなる現象です。宇宙における地球・月・太陽の位置や運動を実体験できるとても貴重な機会です。学校でも、多くの児童・生徒の皆さんで日食について学習し、ぜひ実際に観察していただきたいと思います。

日本天文協議会、日本眼科学会、日本眼科医会が、日食の観察方法や注意点をまとめています。
http://www.nichigan.or.jp/sun/sun_attention.pdf

安全に充分配慮して日食観察を!危険回避のお願い

 太陽の光はひじょうに強く、日食の観察には危険が伴います。太陽をじかに見つめてしまったり、誤った方法で観察を行うことはたいへん危険で、日食網膜症(※1)と呼ばれる目の障害につながります。

 もっとも危険の少ない観察方法は、ピンホール効果の原理で投影された太陽の形を見る方法です。これは直接太陽に目を向けることなく観察することができます。直接太陽を見上げる観察を行う場合は、日食観察グラス(※2)を正しく使用することがきわめて重要です。いずれの方法でも適切な指導の下での実施が必須です。

 また、日食の始まりは午前6時台、終わりは午前9時前後ですが、太陽がリング状に見える最も注目の時間帯は、午前7 時半ころで、朝の通学時間と重なります。通学途中の道路上などで興味の赴くままに見上げてしまうと、目を傷めるおそれがあるだけでなく、交通事故にあう可能性も高くなります。通学途中での観察は避けるよう、日食当日は登校にあたっての配慮など、安全に観察できる環境の検討もお願いします。

※1 日食網膜症
不適切な方法による日食観察で起こる目の障害の総称。一過性で軽快する例から永続的な視力低下に至る例まであります。観察直後は異常がなくても、数時間後に目が痛む、視野の真ん中に影が生じる、ものがゆがんで見える、視力が低下するといった症状が出ることもあります。

※2 日食観察グラス
安全な日食観察(または太陽観察)をするために開発・製造された専用フィルター付きの器具類。製品名では「しゃ光板」「太陽めがね」「日食グラス」などと表記されますが、ここでは「日食観察グラス」とします。

■日食観察のポイント

  • 適切な観察方法を周知して、日食網膜症を防ぎましょう
  • 朝の通学途中に観察しないよう、危険のない観察環境を検討しましょう

■絶対してはいけないこと

  • 直接太陽を見る(問題外です、薄眼で見てもダメです!)
  • サングラスで見る
  • 色付きの下敷きを通して見る
  • 煤(すす)を付けたガラスを通して見る
  • 写真のフィルムを通して見る

いずれも太陽を直接見ることになってしまい、日食網膜症と呼ばれる目の障害を引き起こす可能性があります。網膜を気付けてしまい、視力の低下、最悪では失明してしまうリスクもあります。観察の際は、日食観察グラスを使用しましょう。

今回は7時半前後の観察となるため、ちょうど小中学生の登校時間に重なってしまいます。お子さんがいらっしゃる方は、くれぐれも太陽を見てしまわないように十分注意を促してください。

■金環日食観察の場所と予想時間

国立天文台調べ

主な地点における、日食が始まる時刻・最大になる時刻・終わる時刻は以下の表をご覧ください。

日食の欠ける深さを「食分」という数値で表
します。食分0.1とは、太陽の直径の10%まで太陽面上に月が入り込み、太陽が欠けることを意味しています。今回の日食では、中心食帯の外にある仙台で
の食分は最大で0.929、那覇で0.901、中心食帯からやや離れている札幌でも食分0.840まで欠けます。

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■日食の観察方法

日食の観察方法はいろいろとありますが、一番お手軽で楽しいのが日食観察グラスを使って太陽を観察する方法です。

日食観察グラスを使う場合に留意すべきことがあります。

  • 太陽をさがすときは、いきなり太陽の方を見るのではなく、太陽を背にして(または顔を下に向けて)日食グラスを正しく顔に当ててから、太陽のほうを見るようにしましょう。
  • めがねをかけている場合は、日食観察グラスと顔とのすき間が大きくなるので、手ですき間をおおうようにして、周囲からの光が直接目に入らないようにしましょう。
  • 望遠鏡や双眼鏡などと組み合わせて使うことは絶対にしてはいけません。
  • ときどき目を休めながら観察し、長時間ずっと太陽を見続けることは避けましょう。
  • もし目に違和感があったり疲れを感じたりした場合は、すぐに観察を中止しましょう。

なお、日食の当日、雲が多い場合は、特に注意が必要です。日食観察グラスを使っているときに太陽が雲に隠れてしまうと、つい日食観察グラスをはずして直接太陽を見てしまいがちです。このときに雲が切れて太陽が出てくると、目を傷めるおそれがあります。雲が多い場合には、日食観察グラスを使う観察方法を避けるか、観察を一斉に中断するなど、安全の確保には充分に注意してください。

日食観察グラスを購入されるなら、安全性の高い国産ブランド「ビクセン(Vixen)」がおすすめです。値段は少し高めですが、見え方がきれいで、安全面からも安心して使えます。

 使用に際しては、製品のパッケージや添付の文書で規格や安全性に関する表示を確認するとともに、必ず製品の使用説明を読み、禁止事項・注意事項を守ってください。


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